社員がiDeCoに加入すると増える会社の事務 その① 加入時

 

  • iDeCoは社員(個人)が加入するもので、会社は関係ないという考え方は間違い。わりと事務負担が発生する。
  • 人事、総務のストレスになるiDeCoの事務をシリーズで解説します。

 

 

今回からシリーズもので、iDeCoによって企業が行う事務をレクチャーします。

 

この記事は企業の人事、総務部向けになります。

 

したがって、iDeCoに加入する方が無理に覚えておかなければいけないということではありませんが、iDeCoに加入する社員にとっても、自分が加入することによって会社側はどういう対応をするのか、するべきなのかということをひととおり知っておくと良いと思います。

 

さて、人事や総務部門の方は社員からiDeCoに加入したいと「事業主の証明」を求められたことはないでしょうか?

 

よくわからないが、社印押印の社内手続きをしたといったことはなかったでしょうか?

加入の際の手続きだけかと思いきや、年に1回の現況確認やら、社印が支払う掛金額の変更やら、今や会社ではそれなりの手間になっていないでしょうか?

 

第1回目は事業主登録と第2号加入者に係る事業主の証明書について解説します。

 

加入時の「事業主の証明」と自社の登録

初めて、社員がiDeCoに加入するときは自社も登録することになる。

 

iDeCoは社員個人が加入するしくみですが、掛金の払込を給与天引きにしたり、勤務先の企業に導入されている企業年金制度の種類や有無によって、1年間に支払うことができる掛金額の上限に違いがあります。

 

社員が事業主の証明(書類の記入)を求めてきたときに、よくわからない事務でとっつきにくいと思った方は多いと思いのではないでしょうか。

 

この事業主の証明をはじめて行う際に、企業はiDeCoの“運営元”ともいえる国民年金基金連合会に自社を登録する必要があります。

*人事にとって馴染みがあるものでは雇用保険の事業所番号がありますね、あれと同じ考え方です(番号は違いますが・・・)。

 

登録と聞くと、なにか手続きが必要になる気がしますが・・・

 

初めて登録される時は登録自体の手続きはなにもいらない

自社を初めて登録する時の手続きですが、何もする必要はありません。

自社の社員で初めてiDeCoに加入する方が実際に加入申込をする際に自動的に事業所登録番号が付番される仕組みです。

 

付番されると、国民年金基金連合会から「事業所登録通知書」が送付されます。

勝手に送られてきて、何に使うかわけがわからないと思いますが、事務で使いますので紛失しないように保存しましょう。

 

第2号加入者に係る事業主の証明書の記入方法

会社員、公務員、教職員が加入できるようになった法改正から1年が経過しました。

自社の社員が加入される際に、「事業主の証明」を得るべく書類の記入を求められた人事・総務の方も既に多いとは思いますが、念のために記入方法を確認しましょう。

 

記入例

昨年、このブログを始めた頃には記入例なんてどこの金融機関も用意していなかったのですが、楽天証券とみずほ銀行がwebサイトに掲載してくれています。

 

楽天証券

https://dc.rakuten-sec.co.jp/admission/charge/

 

みずほ銀行

https://www.mizuhobank.co.jp/insurance/kakutei/tetsuduki/owner/index.html

 

とはいっても、あくまで書類の記入例であり、書類の解説というものではありません。

2つのテーマを取り上げて、補足説明しましょう。

 

なぜ、会社の証明書が必要なのか?

会社が企業年金制度を実施しているか?実施しているのであれば、確定給付企業年金や確定拠出年金といった企業年金のうち、何を実施しているのかによって社員個人がiDeCoの仕組みを利用して拠出できる掛金額が変わってきます。これは会社に自社の状況を証明してもらわないとわかりませんので、加入者に係る事業主の証明書の右ページは自社の状況をチェックするためのフローチャートといった書式になっています。

 

そもそも、自社が実施している企業年金制度がわからない

基本的な話かもしれませんが、iDeCoを申し込む社員は勤務先がどの企業年金制度を実施しているのか知っているなんて滅多にありません。また、加入者に係る事業主の証明書を受け取り、記入する側である人事・総務の担当者でも企業年金や退職金の担当者や管理職といった限られた方でなければ、知らない可能性が高いです。その場合は「そもそもフローチャートが書けない」という状況に陥ってしまいます。

 

そこで、自社が実施している企業年金制度の確認方法を少し紹介します。

*フローチャートの分岐の設問に対応しています。

 

実施している企業年金制度の確認方法

*フローチャートの分岐の設問に対応しています。

 

事業所に企業型確定拠出年金があります。

→退職金規程(退職者に退職金を支給するルールが書いてある社内規程。就業規則の中に書かれている場合もあります)を確認して、「確定拠出年金」という言葉があれば“はい”にチェックし、言葉がなければ“いいえ”にチェックしてください。

 

申出者は以下のいずれかに該当します。

・企業年金等(*1)の加入員、または加入者

・共済組合員(*2)

*1 厚生年金基金、確定給付企業年金、石炭鉱業年金基金

*2 国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合の長期組合員、私立学校教職員共済    制度の長期加入者

 

パッと見ると、自社が確定拠出年金以外の企業年金制度を実施しているか、実施していないかを確認しているように見えますが、会社が実施している・していないといったことではなく、iDeCoに加入したい社員が企業年金制度に加入しているかを聞いています。

 

ややこしいのですが、これは「制度」のある・なしを聞いている質問ではなく、書類の記入を求めている本人が制度に加入しているか・加入していないかを質問していますので気をつけてください。

 

例えば、勤続3年以上の社員は確定給付企業年金の加入者とするといった制度設計も可能です(加入待機という手法を取ります)。したがって、確定給付企業年金制度を実施している企業であっても、iDeCoに加入したい本人が確定給付企業年金に加入していなければ、掛金上限額は他の企業年金制度を実施していない場合と同じく23,000円となります。

 

確定給付企業年金を実施している・実施していないという判断を誤ると12,000円が掛金上限となり月額換算で11,000円の権利を失います。提出先の運営管理機関はチェックしませんので、人事・総務部門でしっかりチェックする必要があります。

 

 

 企業型確定拠出年金規約で「加入者は個人型確定拠出年金加入者になることができる」と定めている。

 

会社の社内規程に“企業型確定拠出年金規約“というものがあれば企業型確定拠出年金制度を実施しています(企業が確定拠出年金を実施している)。その場合に、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できないということではなく、”企業型確定拠出年金規約“に個人型も併用できるといった記述があれば可能です。

 

同時加入できる企業は現時点では、10パーセントに満たないと記憶していますが、場合によっては企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金の両方に加入できるケースもあるという点は頭に入れておいたほうがよいと思います。

 

今回は事業所登録と加入時の事業主証明書の記入について解説しました(最後のほうはちょっと細かくなっていますが・・・)。

 

次回はiDeCoの掛金拠出に関する事務を解説します。